ゲーム批評ブログ

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For The King というゲーム

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 面白いゲームである。

 フォーザキングというゲームの共通のフレームがあり、いくつかのシナリオを選んで遊べるゲームである。ランダム生成なフリーマップでランダムにイベントが起こり、ランダムなダイスロールに依って進めるゲームなので、とても飽きにくい。一期一会感は強い。

 大枠も細かい部分も俺からは語るべくもない。大衆に認められし完成度のボードゲームRPGである。興味がわいたならプレイしてみても損はないと思われる。

特筆すべき点

 そのうえで、このゲームの特筆すべき点は、RPGの冒険そのものの特に面白い部分だけを煮詰めたようなプレイ感覚を得られるところだと思う。作り手が、どこがどう面白いか、あるいは別に面白くない、いらない時間はどこにあるか、などを丁寧に考えて調整されているように感じるのだ。たとえば、無駄に歩かされるだけのダンジョン、おつかいクエストや、イベントのスイッチであるNPCの探索、ランダムエンカウントからの雑魚敵とのノールックボタン連打戦闘などは、このゲームには存在しない。終盤のプレイヤー側が完成した状況を除けば、敵との戦闘は、すべてが激戦である。楽な戦いなど、ない。逆に言えば、クッキークリッカー的な積み上げや稼ぎもできない。あるいは、旧来のジャパンRPG的なレベッアップをしこしこやるのが好き、という人には向いてないゲームなのかもしれない。なにしろ最大レベルが14で、レベル11位でそのシナリオはクリアできるような速度感なのである。ワクワクしながら新しくPTを組んで、できるだけ敵を選んで戦いをこなしつつ、ダンジョンを踏破し、クエストを進行させ、災厄やカオスに注意を払いながら探索の旅を続けるうちに、あっという間に時間が過ぎている。まさに、息を継ぐ間もない怒涛の展開である。(インフレについていけない場合は死にます)

 ゲームというのは、キツいからこそ裏腹に喜びがあり、基本的に理不尽かつ不親切で過酷な戦いの連続であるからこそ、無傷の一勝や思いがけぬ拾い物をうれしく感じるのである。このゲームでは、ダーケストダンジョンなどと同じく、その振れ幅ギリギリのゾーンに長く浸っていられるゲームである。これ以上の賛辞は不要だろう。

おすすめの遊び方はLP9

 俺の実際のプレイ経験について語ろう。

 俺はイージーで二回ほどシナリオ(フォーザキング、ウィンターストーム)をクリアしたら、もうイージーは楽すぎる、余裕がありすぎる、と思いノーマルの深海に手を付けた。そこから、かなり苦戦した。初期ライフポイントが3なのだが、これだとハードラックが2~3回あれば沈んでしまうのである。そのまま挑戦を続けてみたものの、通用せず。俺には厳しいなあと思って設定をいじることにした。(設定がいじれるところも、いいゲーム)

 LPは9にした。これでちょうどよかった。ハードラックがあっても、立ち直ることはできる。LPがあるからと言って楽になるわけではない。数時間かけてやってきたPTが一瞬で崩壊して、ボツに終わる目が消えるだけである。それは、ちょっときついよなあ、と思う人にはぜひおすすめしたい遊び方である。

 

2024/04/22追記の攻略情報

 この追記を、フォーザキングは運ゲの糞ゲー、理不尽尽くしの時間の無駄だと考えてノーマルまでいかずに断念しまったすべてのプレイヤーに捧げます。

 ※DLC・ハードモードはやっていません。

 

 あれからもまだしばらく、俺はフォーザキングをやっている。通算で60時間くらいプレイした。今では難易度ノーマルでも、それなりに余裕をもってクリアできるようになった。

 糞事故一発水の泡が嫌なのでいまだに初期ライフは9でやっている。ノーマルデフォルト設定のライフ3は、細かいHPリソース保護アイテムの重要性や、中だるみ防止の緊張感の維持のために必要なのだと理解ができた。非効率なHP回復と、ライフロストするリスクの駆け引きを楽しむ余地があるゲームということである。

 それはさておき、このゲームのガチな攻略情報を記載していこうと思う。

 時間がないプレイヤーのために端的に言えば

『フィールドでは時間経過に抗い、バトルでは消耗を避けること』である。

 具体的な各論にいこう。

 第一に優先すべきは時間である。時間はフィールドで稼ぐ。無為なターン経過なく、敵を倒し、探索してクエストやイベントをこなし、街で買い物をしなくてはならない。

 初心者の頃の俺はそれがわかっていなかったので時間を失うことのコストを理解できていなかった。足踏みターンもよくやっていた。ターンがまわってきたキャラが何もせずにその場でターン終了するアレである。たいていは、戦闘可能ゾーンに仲間が入ってくるのを待ったり、宿屋での回復や買い物、毒や呪いのフィールドを無効装備のキャラで踏破させようと足踏みさせていたのだ。これらがトータルで見ると大損になるゲーム性だと理解していかなければ、脱初心者はできない。

 このゲームでは時間経過で敵は強くなり物品はインフレしていく。先に行けば行くほどリカバリーが難しくなる。逆に、早くアクセスすれば相乗的に有利になっていく。そのため、一般的なセオリーに沿った(時間以外の)リソースの保護は、間違っているケースが多い。

 たとえば3人バトルではHPというリソースは保護できるが、3人が戦闘可能エリアにそろわなくてはいけない。そのために時間を失うなら、2人で攻撃した場合と比べて、どっちが得かを考えて選択しなければならない。

 負うものがHPリスクだけなら、序盤ならば攻撃しておけば良いだろう、と俺は思う。しかし、このゲームではあきらかに厄介な敵がいるので注意が必要である。単純に強かったり、武器や物品のロストがあったり、こっち側でメタれているのか、などと様々な要素があって面白いのである。そこにフォーカスを使った奇襲での分断や、アイテムでの回復といったオプションも考慮して、時間とのトレードオフをしていくゲームなのだ。すべてはトレードオフになる。たとえばAが宿屋に行って戻ってくるまで敵キャンプの前でB,Cが合計4ターン待つ必要があるなら、その計画は捨てたほうがよいだろう。お金は節約できるが、ターンをロスしている。その立ち回りは損だと思うからである。状況にもよるが、たいがいはターンのほうを優先すべきだ。

 だからして、タイムリソースを保護できるアイテムも重要になってくる。使いどきを考える必要もでてくる。キャンプを例にすると、キャンプは9ターンはその場に残って連チャンで使える。その特性から、ダンジョン入り前、出てからの二段活用、そこからのバトルという展開がうまい。かまされたキャラだけが回復して、HPが残ったキャラがアタックしにいけば無駄がない。(メイソウでフォーカスを全回復できる後ろ盾があるならば多判定高火力技をフォーカスで強引にホームランすることもオプションとして選択できる。ウォームルビーありの3ランならば災厄のボスをも1ターンキルできたりする)

 こうしてタイムロストを食い止める意識をもってみると、必然性がよくわからなかったアイテムが時間経過に抗うためのものだったのだと気づく。ポータルの巻物はいわずもがな、テレポートもダンジョンや船を使えば疑似ポータルにはなる。踊りイラクサや金色の葉は移動力として、1ターン追加してもらえるようなものだし、視界の巻物は(石像やダンジョン、聖域やクエスト目標などの)探索を一瞬で終わらせてくれる数ターンの短縮アイテムである。数値を少し改善してくれる防具よりはこちらを優先するほうが結果がよくなるように思う。船を上位互換することで移動力もあがることを、お忘れなく。

 ついでバトルだ。当然のことながら、バトルで勝たなければ明日はない。レベリングと戦利品なしに戦力の底上げは不可能だ。しかし、勝ったところで辛勝、激戦ではリターンが不釣り合いなので、枯渇してしまう。この世界にはポケモンセンター的なほどこしはない。いかにして、楽に勝っていくかを考えなければならないゲームである。そうして3対3で戦うよりも3対1を3回やるほうが良く、HP130のトロールを一体相手するよりは、HPが15のカラス3体を相手するほうが望ましい。そこらへんは経験であるが、このゲーム、バトルで消耗しないためのテクニックがいくつかある。重要な順に並べると、キャラの速度>武器>目標の見極め=フォーカスタイミング=アイテム使用という感じだと思う。それぞれについて軽く語っていく。

 なによりも速度だ。速度が75を超えてくると先制できるようになる。2人がそのラインを超えると、未行動の敵を一体処理できるようになる。コレがでかい、と俺は考える。(だから狩人、学者は固定で使っている)しかし、いくら早くても仕留められない=攻撃力が低ければ意味もなくなる。だから武器も重要なのだ。武器の入手には運要素もあるが、連携で一体を処理できるくらいの数値は確保したい。性能にも色々あるが、貫通やショック、全体攻撃は腐らないと思う。やけど、速度ダウンは全体にばらまけるなら役に立ちやすい。反面、出血や冷気、スタン、リセットは対ボス用の能力なのかな、というイメージがある。(成功率が低いため成功させるためにフォーカスが必要なスタンやリセット技を使わなければならないほどの相手と戦うこと自体を避けるべきなのではないか、という考えにもとづく)

 攻撃目標については、厄介な連中の知識のことだ。戦わずに済むなら、できるだけ戦いたくない敵でもある。しかし戦闘になったなら、最初にたたいておくほうがいい。たとえば、デバフがうっとうしい酸性の塊系やゼリー全般、とにもかくにも爆発するサル、高火力の大砲持ち、武器を食うヤドカリなどだ。船を乗り捨てない=温存するなら航海中に敵船と戦うのもおすすめしない。船ダメージの回復はコストが高い。船体への攻撃はキャラへのダメージが低い、ということも一切ない。受け損である。

 バトルでのフォーカスについては、装備品が揃っていないキャラの数値が低い序盤にこそ、使うべきタイミングが多いように思える。たとえば、反撃が来る直前に85%の乱数から1フォーカスで確実に殺せますよ、という場面なら俺は使う。2連撃で確殺でも使うかもしれない。強い敵の攻撃の一発二発でカミノトイキ一回分(HP15)が吹っ飛ぶので、防ぐために使う、という感じだ。

 アイテム使用については、戦闘用アイテムは好きな時に使えばいいが、ほかのよくわからんアイテムについては回復せずになんとかやりすごして死亡を避けつつ、キャラ間のHP調整をすることに意義があるのかな、と考えている。そうして、できるだけヒーラーのカミノトイキやキャンプで全体回復したり、宿までもたせることを目的とする。ライフが少ないほど重要視される部分だろう。死亡リスクと天秤にかけるものが、回復コストだけではなく、中間択として学者の薬草でレベルアップ、混乱無効装備からのラム酒蜂蜜酒、武器の特殊技などがあるのだ。

 最後に、PT構成について書く。各種パラメーター参照のイベントから良い結果を出すためには、力、感知力、知能のそれぞれに特化したジョブがいるほうがいい、と俺は思う。(才能系ジョブのジェスター、吟遊詩人は総合的にあんま強くねえな、と考えて除外している。よくわかりません)

 力役は、DLCジョブを除けば、速度が遅いので移動や戦闘を考えると微妙なのだが、完全に削ってしまうと一部のイベントのコストがあがってしまってきついな、と感じたので、俺は常に選ぶようにしている。今は、モンク、狩人、学者の組み合わせで安定している。

 狩人、学者はとにかく高速アタッカーの数値強者のため採用。モンクは、最初は弱いように感じていた。数値では力も知力もほかに劣り、ヒーラー欲しさなら薬草医のほうが早い。しかし、狩人、学者というPTに加える場合だと、力役になって、ヒーラー持ち、コンバーターが意外に強い(ゲーム内ではきちんと説明されないのだが、フォーカスゼロの味方がいて、モンクが敵撃破 or クリティカル攻撃時に100%発動する仕様である。三番打者になるモンクは敵を撃破しやすく、仲間が1フォーカス攻撃を多用できるようになる)、速度がほかの力役よりもすこしだけ高い等の理由でぴったりはまるのだ。

 器用貧乏と紹介されがちな世捨て人も、あらゆるイベントにそれなりに対応できる、速度70の高速アタッカーと考えて運用すればアリであった。やはりというか数値不足、スキルがないので一味足りず、フォーカス不足の面はあるが、使えないわけではなかった。つまるところ、すべてはトレードオフであり、いろいろと試してみる過程にこそ面白みがあるのだと思う。