ゲーム批評ブログ

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Blood Card 2: Dark Mist というゲーム

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 なかなか面白いゲームだった。

 山札自体がHPとなっている所が特色のデッキ構築型ローグライトゲーム。

 STS派生ゲームが面白かった人なら楽しめるようなゲーム性で、想像は超えてこないが期待は裏切らないといった内容であった。

 

 その目玉である山札HPシステムは、従来のデッキ構築型ゲームの前提を覆した、ともいうべきプレイ感覚を提供している。『デッキは絞って回すほうが一様性が増して安定するため、強い!』というカードゲームの原則と『HPは多い方が、強い!』というRPGの大原則との綱引きである。だからして、完璧主義的な超然としたピックで決まったラインを探っていくといったプレイスタイルは、このゲームでは許されていない。生き残れない。それが、許せない、美しくない、と感じる人は、あるいは、このゲームのことが好きになれないかもしれない。しかし、そのかわりと言ってはなんだが、デッキの流動性が高いゲームシステムになっている。このゲームでは敵を倒してレベルアップするごとにカードがピックできる。即戦力系とギミック系で呉越同舟混ぜ合わせでピックしまくってから、後で大量解雇することもありである。アップグレードや削除のコストが低いのである。ショップも品切れを起こさない仕様なので、カードもレリックも金がある限り買いまくれる。これには是非、実際に触ってみてSTSとの違いを感じて欲しい。

 

 お次にBADポイントだが、単調さ、作業性が高いことが挙げられる。ビジュアル的な問題ではない。ダメージをくらう→捨て札からカードが奪われる→その敵を倒す→カードが山札に回収、という流れを最後尾まで繰り返すのだが、カードを奪っている敵を一掃するとノーダメージに戻るわけなので、STSのようにギリギリのHPで戦い抜く緊張感がないのである。回復するか否か、攻撃、防御の判断ポイントもない。考えるべきは、どの敵から攻撃していくか、なのだが、あと一歩で倒せる敵は放置しても構わないし、ボスまで行けば雑魚的はすべて消滅する(している)ので、どっから手を出しても結局は同じになることが多くて、そんなに考える必要はないよな、と考えた次第である。

 そのキャラの初見~2週目くらいなら、まだ発見があるので楽しめるのだが、最適化が自分のなかで進むと雑魚敵を蹴散らしていく過程が死に時間になりがちだなあと感じてしまった。難易度を上げても、やっていくことは変わらないのでプレイ感も変わらず、面白さがアップデートされていかないところも残念な感じであった。

 

 上記の欠点を感じにくいキャラクターが個人的には面白かった。山札と捨て札をコントロールしないといけない召喚獣システムの獣使いと、呪いカードの総量をコントロールしないといけない混沌の騎士である。このふたつのキャラクターは引き以上に、状況を判断しないといけない要素が強いのである。つまりはプレイのランダム性が高まるってことなのかもしれない。

 キャラクターが多いので、解禁要素とゲームに慣れるためにそれぞれレベル2くらいまではクリアしてから、気に入ったギミックのキャラである程度遊んでプレイ終了していいんじゃないかな、と思う。実際に俺はそうした。