ゲーム批評ブログ

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Tangledeep というゲーム

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 音楽は良い。FF6・クロノトリガーなどが世代のスファミ勢なら思わず日常生活でも脳内BGMとして使用すること必須であろうと思われる。

 そして、ゲーム内容は面白かった。しかし、楽しみ方のピントが俺とは合っていなかった。ピントというよりはスタンスとも言うべきかもしれないのだが、このゲームはじっくり遊ぶ人向けであった。

 じっくり、あっさり。どっちが良くて悪いか、ということではない。人には人ごとに、ゲームに期待する尺、時間事情が異なっている、ということである。

 このゲームについて具体的に言えば、一つの武器に一つの特性を付与するために、その特性をもった武器を三つ破壊してカケラを抽出して水晶を作りだし、その水晶とお金を消費して、モノの夢というダンジョンにもぐって4~5階程度を踏破してボスを倒すことで、その特性がひとつ付与できるわけだが、これが俺にとっては長すぎるのである。これを、やりがいがあって良いと考える人も当然いるだろう。が、俺はそうではなかった、ということである。(ちなみに魔法特性は一つの武器に6個もしくは8個付与できるため、完成した! と言わしめるまでに、この夢見のダンジョンにもぐる作業を何回もやらなくてはならない。また、強い武器のダンジョンでは敵もバカ強い時があるので決して消化試合的に踏破できるものではない)

 

 このゲームは時間をかけて進めていく柱を何本も持っている構造である。

宝探しフェイズ:特性のついた武具を探す。伝説の武具を探す。

作成フェイズ:特性を抽出して、別の武器に埋め込む。オリジナル武器を作る。

ビルドフェイズ:転職、スキル習得、セットして武具を組み合わせてビルドを組む。

ペット育成フェイズ:ペットを強化、繁殖、スキル集め、スキル抽出。

 

 楽しみながら戦力を増強しつつ、死んでもパーにならないモードで全クリはした。そして、もっと強い状態を目指して、とりあえず想像できる『完成』を目指して、プレイを始めてーーーランダムクエストを消化したり、モノの夢のダンジョンにもぐってみれば、なるほど毎回、何らかの資産が増えていくことは間違いない。のだが、全体を俯瞰してみると、ある程度の満足ができる『完成』状態まで、どれぐらいの距離を縮められたかを考えると、ほとんど進んでいないことに気づく。長距離走なのである。

 tangledeepをやって、俺にはあっさりとしたゲームが向いているのだとよく分かった。痛いほどわかった。すなわち、たとえビルド系のゲームであっても、煮詰まった状態で、『完成』させるまでに我慢してプレイするのは、アンマッチだということである。

 かつて俺屍というゲームがあった。そこには、じっくり、あっさり、しっかりなどのプレイモードがあり、プレイヤーの時間事情に合わせて難易度を調整できたのである。この配慮、当時の俺は凄いゲームだなあ、と感心した。

 要するにゲームの内容とは別にして、(ゲームの進行度を縦軸、時間を横軸で表したとする)プレイ時間ーインフレ曲線を想定するとき、プレイヤー側の求める曲線とのずれが大きいほど、楽しさが削がれてしまうわけである。テンポというのか。

 もちろん、システムの外からなんらかの縛り行為を己に課すことで、プレイ曲線をじっくり方向へシフトさせることは簡単に行えるので、昔から、そうやって遊んでいたじっくり気質のプレイヤーにとっては、何を今更、と言う程度の話なのかもしれない。

 ともあれ、俺には、目に見える成果が、数時間おきに確認できる程度のプレイ体験が合っているのだと分かって良かったように思う。日生活活でも同様の価値判断を優先するほうが、自分にとって長続きしやすい取組方につながりやすいように考えられるからである。

 個人的には、じっくり型のゲームをやりこむ位なら、現実世界で現実生活の中でやってしまうほうが人生の方向性として正しく、良い結果につながっていくように思う。筋トレでも、創作でも、なんでもいいのだが、なにしろ結果がすぐにでることなんて現実にはないのであって、だから俺たちはゲームをするわけだから。つまるところ、ヒトは、自分の肉体とか現実の生活からは逃れられないわけだから。