ゲーム批評ブログ

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Kaiju Wars というゲーム

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 面白い。

 こちらもDespotism 3kのように(シミュレーションゲームの皮を被った)パズルゲームのようではあるが、そこまで運命論的な解法を探すことに心血を注ぐ必要はないし、手の指などに負担がかかる単純作業をいそいそと、エンドレスエイト的に何度も繰り返さなくてもよいのは自由時間が少ない社会人にとっては、非常にありがたい。

 別にDespotismというゲームに恨みがあるわけではないのだが、ステージ単位でクリアを目指すゲームなので、構造上こちらのほうがバラエティに富んでいるのである。だからして解決策が多数用意あったり、ボーナスカードの偏りによるバラツキを加味してクリアまでに余裕をもたせたステージが多いのだ。無論、低リソースでギリギリクリア設定の詰め将棋的ステージもあって、面白い。え、どういうこと? から始まって、そういうことか~、という作りが多く、おおいに楽しませてもらえる。そう。分解してみれば単調な作業である筈の防衛戦を多種多様な工夫で、飽きさせないようにプレイせしめているのだ。たとえば各ステージの内容のばらつき、海上であったり、陸戦であったり、兵器の制限もある。怪獣の特性や数が違っていて、うまくやっているのだ。初見でもギリギリクリアできるか、という難易度が設定されていて、職人技が随所に光っているように思えた。

 本質的にはタイムリミットまでに勝利条件を満たす、というシンプルな命題を多角的に調整させた部分が売りのゲームであるように思う。

 どういうことかというと、そもそもMAPと怪獣の初期条件により、残りのターンというかタイムリミットは規定されているのである。(強いて言うなら勝利するための最低必要ターン数も決まっていると思う)

 プレイヤーが行えることは、タイムリミットを伸ばすか、勝利条件に近づく、のいずれかである。前者は、怪獣の足を潰したり、攻撃対象の建設やブレークポイントを増やす、博士の移送スピードをあげる等である。後者は科学力ブーストであったり、撃退狙いで怪獣にダメージを与えることであったりする。それらのいずれかに該当しない行動は、基本的には意義がない。その『ここでミサイルで敵を攻撃する必要はあるのだろうか?』『どこで戦車による怪獣の空ターン消費を起こせるのだろうか』などといった、必然性や目的性を追求する部分が非常にシンプルで明確で気持ちが良い。持って触れるぐらいリアリティな触感がある。シミュレーションゲームならば、さも当然と導入されている形式が排されているのだ。大きな数値や相性、状態異常とかレベルとか、パイロットとかスキルとか、何ターン以内にクリアしろ、とか、そういったゴタゴタなんぞ無くたって、シンプルな命題だけでも十分に迫真な状況は作れて面白いのだと理解している人間がこのゲームを作ったのだと、無意識的に理解できた。その発端がゴジラファミコンのゲームにある、と隠し要素的にネタバレされていてプレイもできるようである。どうもこのゲームは日本においては発売されなかったようだが。

 

 全体的に、さあ怪獣のシミュレーションゲームを楽しんでください、という心意気が素晴らしい。やりこみも自由。やってもいいし、やらなくてもいい、というスタンスも嬉しい。ハードモードも糞むずくて素晴らしい。全然、やる気が起きないレベルで難しい。俺は、やってはいない。

 しいていえば、単調さや冗長さがあるのは否めないので、毎日1~2ステージをやるくらいがちょうどいい距離感なのかな、というくらいのゲームである。メインでまわすには、サイクル性が弱いが、その分、長く味がする、という感じ。

 Tabの倍速を使い回して、高速で流すテクニックは必須であろう。